モラハラ夫と別居したい方へー同意のない別居は可能?

 

モラハラ夫の言う「同居義務」とは?

 モラハラ夫の言動に苦しみ、「今すぐにでも家を出たい…」と考えていても、相手の同意を得られないどころか「同居義務に反するから慰謝料を支払え」「裁判所に調停(審判)を起こす」と言われてしまうケースがあります。

 

 このような相手方の主張は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という民法の規定(同法第752条)が根拠となっています(条文の下線部分が「同居義務」を定める部分です)。

 

 しかし、結論から言えば別居の原因がモラハラである場合に、相手方の言う「同居義務違反」は認められません

 

 そもそも、別居に反対する配偶者が同居義務に基づきどのような手段に出ることができるのか、といえば以下の通りです。

相手方が取りうる行動①:同居義務違反で慰謝料請求?

あなたが同意なく家を出ることが不法行為(民法第709条)にあたるとして、それにより自身が被った精神的苦痛に対する賠償=慰謝料を請求する、というのが相手方の理屈といえます。

 

 また、同居義務に反する一方的な別居は法定離婚事由のひとつ「悪意の遺棄」(民法第770条第1項第2号)に該当する可能性もあります。すると、家を出た側(あなた)が婚姻関係を破綻させた「有責配偶者」とされ、離婚したくて別居したのに信義則(民法第1条第2項)上離婚請求が出来ない立場に置かれかねないばかりか、のちに離婚へ進んだとしても相手方に有責配偶者に対する慰謝料請求の余地をも与えてしまいます。 

相手方が取りうる行動②:同居を求める調停・審判

 また、あなたが相手方の同意なく別居を開始した場合、相手方は家庭裁判所へ夫婦の同居調停または審判を申立てることができます。もし裁判所もあなたの同居義務違反を認めれば、最終的に同居義務の履行(=別居の解消)を命じる審判を出す可能性があります。

 

 もっとも、夫婦の同居はお互いの協力によって成り立つもので、「いくら裁判所に命じられても同居はしたくない…」と嫌がっている方を無理矢理配偶者の元に連れ戻すようなこと(強制執行)は出来ないと解されています。ただし、同居命令審判を無視し続けていると上述の有責配偶者とされるリスクが高まることには否定できません。

 

 ですが、上述したようにモラハラ夫による慰謝料請求が認められることも、裁判所にモラハラ夫との同居を命じられることもありません。次はその理由を説明いたします。

 

同居義務違反にならない、別居の「正当な理由」とは

 いくら同居義務に法律上の根拠があるからといって、いかなる別居も同居義務違反にあたるわけではなく、別居に「正当な理由」があれば相手方の同意がなくとも同居義務違反は認められないと解されています。

 

モラハラやDVを受けている方が家を出ていくケースは別居に「正当な理由」がある典型例の一つです。

 

そもそも夫婦の同居義務は、夫婦が互いに協力し合ってより良い家庭を形成すべきであるという考えから定められているものです。対して、モラハラ・DV夫との間で別居や離婚に向けた対等な話し合いができず、妻が心身の安全を守るために避難せざるを得ない、という状況にある夫婦にはこのような相互協力関係の維持を求めることが困難である(むしろモラハラ・DⅤ被害者を解放すべきである)と考えられるため、同居義務の例外を認める解釈がなされているのです。

 

他にもある?「正当な理由」のある別居の例

あえて挙げるようなことでもないように思いますが、いわゆる週末婚のケース、単身赴任のケースや子どもの教育環境を維持するために別居するケースなど、夫婦間で同意のうえでなされた別居は、法の求める夫婦の相互協力関係の表れであり同居義務違反を問う必要がありません。

 

また、夫婦げんかの末に一時的に片方が家を出て頭を冷やす…というような再度の同居が前提となっているような短期間の別居も夫婦の協力関係を維持するためにはむしろ必要であるとして同居義務違反にはならないという考え方が一般的です。

 

 

モラハラ夫が別居に反対しているときにすべきこと

 あくまで法律上は夫婦の同居が原則として定められていますから、もしモラハラ夫と別居後に同居義務違反を主張された際には、あなたは「別居に正当な理由がある」、つまり「モラハラを受けていた」という反論をしないとなりません。

 

 調停・審判といった形で裁判所が介入した際には特に、証拠に基づいた反論が必要となります。そのため、別居に踏み切る際には相手から暴言等を受けていた記録(メール、録音、日記)のほか、心療内科を受診したのであれば診断書、地方自治体の相談窓口を利用した際にはその相談記録、…といった証拠を集めておくことが大切です。

 

 もっとも、調停・審判の場でも当事者からモラハラが主張されている状況では、仮に客観的な証拠が不十分だったとしても同居義務違反が認められるということはまずあり得ませんそのため、モラハラ夫との同居に耐えがたい、少しでも早く距離を置きたい、という方はまずはご自身の心身の安全を第一に、速やかに別居に踏み切るべきでしょう。

 

モラハラ夫との別居についてお悩みの方へ

 夫のモラハラを理由に別居に踏み切った妻に対して、モラハラ夫が自己の言動を正当化するために、あるいは妻への嫌がらせのために、慰謝料請求をしてきたり家庭裁判所の調停・審判手続を利用してきたりすることがあります。

 

実際のところは、モラハラ夫から逃れるための別居が同意を得てなされる方が珍しく、既に述べた通りモラハラ夫の行動は無駄になることが通常です。

 

 それでもモラハラの事実を上手く立証できなければ今後の離婚において不利な立場に置かれるリスクがあることには変わりありませんし、何より「せっかく別居したのにモラハラ夫からの連絡が止まらない」というご状況では心が休まらないことと思います。別居を考えている場合は離婚問題に詳しい弁護士に一度ご相談いただくことをお勧めいたします。

 

弁護士法人リブラ共同法律事務所では、モラハラにお悩みの方からのご相談・ご依頼も多数お受けしてまいりました。

 

モラハラ夫との別居や離婚を決意された方に対しては協議・調停の代理人としてのサポートだけではなく、別居前の証拠集めのアドバイスもさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

監修者

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