長年のモラハラで離婚は出来る?離婚問題に詳しい弁護士が解説
目次
「子どもが独立したら離婚したいと思っていた」
「定年退職を機に夫婦で過ごす時間が増え、改めてこれまでの生活を振り返るようになった」
このような、いわゆる熟年離婚のご相談は近年増加しています。
熟年離婚では、若い世代の離婚と比べて、財産分与や年金分割、退職金、住まいなど老後の生活設計に直結する問題が数多くあります。
長年の婚姻生活を経ていることから夫婦共有財産が高額になることも珍しくなく、話し合いがまとまらず調停や訴訟へ発展する傾向も若年層の離婚のケースより高いです。
さらに、長年にわたって人格を否定するような言葉を浴びせられたり、生活や交友関係を細かく制限されたりする、モラルハラスメント(モラハラ)を受けてこられたケースだと、
「年齢的に今さら離婚できるのだろうか」
「老後の生活が不安」「財産分与や年金はどうなるのか」
というお悩みを打ち明けていただくことも少なくありません。
モラハラは身体的暴力とは異なり、証拠が残りにくく、第三者から理解されにくいという特徴があります。
そのため、
「本当に離婚理由になるのか」
「慰謝料は請求できるのか」
と不安を抱える方もいらっしゃいます。
本記事では、モラハラを理由に熟年離婚が認められるかどうか、争点となりやすいポイント、熟年離婚のメリット・デメリットなどについて、離婚問題を多く取り扱う弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が分かりやすく解説いたします。
モラハラを理由に離婚は出来る?
モラハラ(モラルハラスメント)とは、いわゆる精神的な暴力を指すもので、言葉の内容そのものだけではく発し方、意図的な無視等、日常的なコミュニケーション全般によってもたらされます。
被害者側はしばしば自身の気遣いや能力が足りていないせいだと思い込まされ、モラハラを受けていると自覚しないまま被害が大きくなってしまうことがあります。
もっとも、この「モラハラ」という言葉自体は法律上の用語ではありません。
そのため、裁判でも「モラハラがあった」というだけで直ちに裁判所が離婚を認めるわけではなく、その内容や程度、期間などを個別に判断したうえで離婚が相当であるという心証を形成していくことになります。
すなわち、民法第770条では、裁判で離婚が認められる理由として「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が定められていますが(同条第1項第4号)、モラハラといわれる長期間にわたる精神的虐待や人格否定、支配的な言動によって夫婦関係が修復できない状態になっている場合は、この「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断される可能性があります。
例えば、次のような行為はモラハラとして問題となることがあります。
✅「誰のおかげで生活できている」と繰り返し人格を否定する。
✅外出や友人との交流を制限する。
✅無視や威圧的な態度を長期間続ける。
✅常に行動を監視し、自由な意思決定を認めない。
もちろん、一度の口論や夫婦喧嘩だけでは離婚原因になるとは限りません。
しかし、このような行為が何年も継続し、精神的苦痛によって夫婦関係が事実上破綻していると認められる場合には、離婚請求が認められる可能性があります。
※モラハラチェックリスト、モラハラに該当する言動については以下の記事もご覧ください。
>>>『あなたはモラハラ被害者?【モラハラチェックリストのご紹介】』
「モラハラがあったこと」を証明するには
特に熟年夫婦では、「昔からこういう人だから」と長年我慢を重ねてきた結果、精神的な負担が積み重なっているケースも少なくありません。近年は、身体的暴力だけでなく精神的虐待についても、裁判所が具体的な事情を踏まえて慎重に判断する傾向があります。
もっとも、調停委員や裁判官に「長年のモラハラの事実があった」という心証を抱かせるには「モラハラがあった」と主張するだけでは足りず、それを裏付ける証拠の存在が重要になります。
【モラハラを立証する証拠の例】
✅暴言の動画データ
✅暴言の録音データ
✅LINEやメールのやり取り
✅医師の診断書(心療内科等で診断が出た場合や身体的暴力による受傷も伴う場合)
✅日記やメモ
✅家族や知人の証言
長期間にわたるモラハラがあったケースでは、本人が「証拠になる」と意識せず生活していることも多くあります。そのため、離婚を考え始めた段階で、どのような資料が証拠として利用できるのかを弁護士へ相談していただくことをお勧めいたします。
モラハラを理由とした熟年離婚で争点となりやすいもの
熟年離婚では、「離婚するかどうか」だけではなく、離婚後の生活を左右するさまざまな問題について話し合う必要があります。婚姻期間が長くなるほど夫婦で築いた財産が増えていることも多く、一つ一つの争点が老後の生活設計に大きく影響します。
財産分与
熟年離婚で最も争いになりやすいのが財産分与です。
名義が夫だけになっている預貯金や不動産であっても、婚姻中に形成されたものであれば財産分与の対象となる可能性があります。
(財産分与の対象となる財産の例)
✅自宅不動産
✅預貯金
✅株式・投資信託
✅生命保険
✅退職金
加えてモラハラ案件だと、同居していても相手方が資産に関する情報を共有していない(把握させてもらえない)といったケースも多く、離婚協議に入ってもなお共有財産の開示を渋ることも珍しくありません。
そのような場合は財産分与を求める側による財産調査が必要になることもあります。
年金分割
婚姻期間が長い夫婦では、年金分割も重要な争点です。
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の記録を一定割合で分割する制度であり、離婚後の老後の生活に大きく影響します。
特に、長年専業主婦やパート勤務で家計を支えてきた方、外で働くことに干渉されるタイプのモラハラを受けてきた方にとっては、将来受け取る年金額に関わる重要な制度です。
婚姻費用(離婚前の別居期間中)
離婚が成立するまで別居する場合には、収入の多い配偶者に対して婚姻費用を請求できる可能性があります。
モラハラ案件では、別居後に生活費の支払いを拒否されたり、極端に低い金額しか提示されなかったりするケースもありますが、婚姻費用の分担を求めることは夫婦の相互扶助義務に基づく権利なので諦めず交渉することが大切です。もし、当事者間の話し合いが困難とかんがえられる場合には家庭裁判所の調停を利用して解決を図ることも可能です。
モラハラ案件の熟年離婚でよくあるメリット・デメリット
熟年離婚を考えている方の中でも、特に長年モラハラを受け続けてきたケースでは「この年齢から離婚しても大丈夫だろうか」「一人で生活していけるのだろうか」とご不安を抱えられることも多いかと思います。熟年離婚にはメリットとデメリットの両方があるので、後悔しない選択をするためには、それぞれを理解したうえで準備を進めていきましょう。
熟年離婚のメリット
✅精神的な負担から解放される
モラハラを受け続け「常に相手の顔色をうかがい、自分の考えや感情を押し殺して生活している」という状況に陥っている方にとっては、離婚によってそのような環境から離れることで精神的なストレスを大きく軽減させることができます。
とくに熟年層のケースではお子様が独立した、定年で仕事に一区切りついた、という環境の変化も後押しとなり、自分らしい生活を取り戻すことが出来ることが離婚の大きなメリットといえます。
✅財産分与や年金分割によって生活基盤を整えられる
熟年離婚では、婚姻期間が長いため夫婦で築いてきた預貯金、不動産、退職金、有価証券などの共有財産が比較的多額になっていることがあります。
また、一定の条件を満たせば婚姻期間中の厚生年金の記録について年金分割制度を利用できます。
そのため熟年離婚は若い方の離婚と比較して、ある程度まとまった金額を離婚時に受け取ることのできる場合が多い傾向にあります。
熟年離婚のデメリット
✅離婚後の生活費を十分に検討する必要がある
熟年離婚では、現役世代よりもご自身で収入を増やすことが難しい傾向にあります。
そのため離婚前には、年金収入や財産分与で取得できる財産と、老後の生活費、医療費や介護費用などを具体的に試算・比較し、生活設計を立てておくことが大切です。
モラハラ案件ではご自身の心身の安全確保が第一ではありますが、今後の生活について検討が不十分なまま離婚してしまうと、「思っていたより生活が苦しい」という状況になることもあります。
✅協議が複雑化・長期化しやすい
婚姻期間が長いほど、財産分与の対象になる共有財産の中に評価方法が複雑なものが含まれるケースも増える傾向にあります。
また、特にモラハラ案件では相手が「どうせよく知らないだろう」「深く追求してこないだろう」という態度で
- 話し合いを故意に引き延ばす
- 一方的な要求を繰り返す
- 威圧的な態度で精神的に追い詰める
- 資産を正確に開示しない
といった行動をとり、協議自体が円滑に進まないケースも少なくありません。
このような相手と交渉を続け、必要に応じてご自身で資料収集や財産調査を行わなければならないとなると大きなストレスを抱えてしまう可能性もあるので、早い段階から弁護士へ相談することをおすすめ致します。
モラハラで熟年離婚する際に弁護士に依頼するメリット
モラハラによる熟年離婚では、「相手と話すだけで精神的につらい」「何を言っても話し合いにならない」と感じている方も少なくありません。
そのような場合でも、弁護士が代理人となれば、ご本人が直接相手と連絡を取る必要がほとんどなくなります。精神的な負担を軽減しながら、冷静に離婚に向けた話し合いや調停等の手続を進めることが可能です。
また、熟年離婚では財産分与や年金分割などでも検討すべき事項が多くなります。相手が財産を十分に開示しない場合には、必要な資料の収集や財産調査の方法について検討することも重要です。
モラハラで熟年離婚をご検討中の方は弁護士法人リブラ共同法律事務所へご相談ください
長年にわたるモラハラを受けていると、精神的な苦痛が積み重なり「もう我慢し続けるしかない…」と感じてしまう方も少なくありませんが、ご年齢を重ねてからでも自分らしい生活を取り戻すことを諦める必要はありません。
確かに熟年離婚では、財産分与ひとつをとっても検討すべき事項が多く、相手がモラハラを続けている場合には冷静な話し合いが難しいケースもありますが、そのような状況では、早い段階から弁護士へ相談し、今後の見通しや適切な準備を進めることが重要です。
弁護士法人リブラ共同法律事務所は、累計4,000件を超える離婚相談実績(令和8年8月現在)を有し、モラハラ案件や熟年離婚に関する豊富な解決実績がございます。依頼者の方一人ひとりのご事情を丁寧にお伺いし、お気持ちに寄り添いながら、別居前の準備、婚姻費用請求、財産分与、年金分割、調停・訴訟まで状況に応じた最適な解決方法をご提案いたします。
「離婚できるのか知りたい」
「財産分与が心配」
「相手と直接話したくない」
とお悩みの方は、お一人で抱え込まず、お気軽に当事務所までご相談ください。経験豊富な弁護士が、今後の生活を見据えた解決をサポートいたします。
監修者

- 弁護士法人リブラ共同法律事務所は離婚事件を中心に取り扱い、東京・札幌を中心に全国の皆様から多数の相談、依頼をいただいております。離婚についてお悩みのことがございましたら当事務所までお問い合わせください。
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