銀行員の離婚問題について弁護士が解説

銀行員の方との離婚では、一般的な離婚問題に加え、高額な退職金、自社株、投資信託などの金融資産が財産分与の争点となることが少なくありません。

財産管理、資産運用の意識が高いことから、資産を複数の口座や金融商品で運用していることも珍しくなく、そもそも財産分与の対象となる財産を正確に把握すること自体が大きな課題となるケースもあります。

また、銀行員の給与水準が比較的高いことから、婚姻費用や養育費についても対立が生じやすい傾向もあります。

 

本記事では、このような銀行員との離婚で問題となりやすいポイントや手続の流れについて、離婚問題に注力する弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が解説いたします。

 

銀行員特有の離婚問題とは

銀行員の方との離婚に至るケースでは、以下のような事情が背景となることがあります。

 

✅長時間労働によるすれ違い

担当する業務にもよりますが、銀行での仕事は顧客対応や営業ノルマを伴うもので、長時間労働が続くことがあります。

さらに部署によっては平日の残業だけでなく住宅ローン相談などの休日のイベントに駆り出されたり、資格取得のための勉強に追われたり、社外の接待が多かったりすることで、家族と過ごす時間が削られ夫婦のすれちがいが生じる原因になりえます。

 

✅転勤による環境の変化やストレス

職種にもよりますが、銀行員は数年ごとの転勤をする方が多いです。

転勤は直前に知らされることが通常であるため引っ越しの準備も大変ですし、お子様にとっても急な転校を伴う大きな環境の変化をもたらします。銀行によっては社宅が用意されていることもありますが、そのぶん社内にプライベートな事情も知られやすかったり、休日に家族ぐるみの付き合いを求められたりと、人によっては息苦しさを感じることもあるようです。

 

また単身赴任を選んだ場合も、家事や育児への関わりが薄くなることで夫婦の精神的な距離も開いてしまうケースもあります。このように銀行員にとってはよくある転勤が、「夫(妻)の都合で振り回されている」と感じさせ、配偶者が離婚を決断する後押しとなってしまうことがあります。

 

✅社内、社外の不倫

銀行員は安定した収入を得られるといったイメージもあり人気の高い職業であるぶん、不倫関係をもってしまうケースも少なくありません。

 

また「銀行員である夫(妻)の不倫が発覚し離婚を決断した」というご相談の背景には、飲み会や接待で人に接する機会が多い、単身赴任で家族と離れて暮らす、所縁のない地域へ転勤してきた人同士の職場内で親しい関係が構築されやすい、といった銀行員が置かれがちな環境もあるようです。

 

銀行員との離婚で問題にあるポイント

財産分与

財産分与とは夫婦が共同生活の中で形成した財産(共有財産)を公平に分配するというものです。

銀行員との離婚では、特に以下の財産について争われやすい傾向にあります。

 

✅退職金

銀行に勤めていると比較的退職金制度が整っていることが多く、退職金が共有財産の中でも多くを占めるケースがあります。

既に支給済みの退職金だけでなく、将来受け取る予定の退職金も夫婦の同居期間に対応する部分については共有財産として財産分与の対象となります。

銀行員である配偶者に将来の退職金の財産分与を求める際は、「定年までの年数」「退職金規定の存在」「支給の蓋然性」を確認・検討し、退職金見込額を証明する資料の提出を求めることが重要です。

 

✅自社株

取引先企業の経営状況等を知りうる立場にある銀行員はインサイダー取引などの金融商品取引法違反のリスクを回避するため、資産形成の手段として勤務先である銀行の持株会制度を利用し、自社株を保有していることがあります。この自社株についても、夫婦が同居していた期間中に取得した部分については財産分与の対象になります。

 

中には婚姻前から毎月、給与から自動的に一定額を自社株の購入に充てるようにしているケースもあるので、財産分与の際は「いつ何株を取得したか」を確認したうえで対象となる範囲を確定し、そのうえで「評価時点をいつにするのか」「非上場株か上場株か」といった点も考慮して具体的にいくらを分与するのか評価額をつけます。株価は日々変動するため、離婚協議や調停ではこの評価方法が争いになることがあります。

 

✅投資信託

投資信託とは、「不特定多数の投資家から集めた資金を専門家がまとめて投資・運用し、その運用成果を投資額に応じて分配する」という金融商品で、銀行員の方はこのような投資信託を購入・保有していることも珍しくありません。この投資信託も夫婦の同居期間中に購入されたものであれば、財産分与の対象になります。

 

投資信託は市場価格によって価値が変動するため、財産分与の際には「評価基準日」「解約価額」「分配金の扱い」などを整理する必要があります。

そのため、証券口座の取引口座や残高報告書、特定口座年間取引報告書といった書類を取得し評価を進めることになります。

 

婚姻費用・養育費について

婚姻費用とは、夫婦が別居している間(離婚するまで)の生活費のことです。

夫婦には、離婚が成立するまで互いに生活を支える義務があります。そのため、収入の多い側は収入の少ない側に婚姻費用を支払う必要があります。具体的に支払う金額について家庭裁判所の算定表を参考に、夫婦の収入額に応じた月額で決めることが一般的です。

給与水準が比較的高い銀行員が婚姻費用支払義務者である場合、それだけ婚姻費用も高額になる傾向があるといえます。また、「賞与(ボーナス)の扱い」、「住宅ローンの負担分の扱い」、「私立学校に通っている子どもの学費を考慮した加算」などが争点になることがあります。

 

協議や調停で婚姻費用額を取り決める際は、それぞれの家庭の状況に応じてこれらの収入・支出を裏付ける資料を用意して臨むことが重要です。

 

離婚後は夫婦の相互に生活を支え合う義務はなくなりますが、子どもの養育義務は監護親か否か、親権者であるか否かにかかわらず継続します。そのため、離婚に際しては養育費(子どもを監護するために必要な生活費や教育費)についても重要な争点となります。

 

一般的な金額は婚姻費用と同様、家庭裁判所の算定表が基準となりますが、子どもの教育状況、進学の見通し、特別な支出の有無なども考慮要素に加え、将来の教育費負担についても明確に取り決めておくようにしましょう。

 

銀行員との離婚の流れ

銀行員との離婚だからといって、基本的な手続の流れが変わるわけではありません。

一般的な流れの通り、以下の順序で進みます。

離婚協議

まずは当事者同士で話し合いを行い、離婚条件として、親権、養育費、親子交流、財産分与、年金分割について取り決めます。後のトラブルに備え、合意した内容は公正証書にしておくと安心です。

 

離婚調停

話し合いでまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

調停では調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら解決を目指します。

 

銀行員の方との案件では、財産分与をめぐり退職金に関する資料、保有株式に関する資料、証券口座に関する資料の提出が問題になることも少なくありません。

 

相手方がこれらの共有財産に関する書類提出に応じないとき、調停手続では裁判所による調査嘱託を利用することが可能です。また、弁護士に手続を依頼していれば弁護士会を通した照会をかけることもできます。

 

離婚訴訟

調停で合意できず不成立となれば、離婚訴訟を提起することができます。裁判では証拠に基づいて裁判官が争点に対する判断を行います。そのため、財産が多い案件ほど、資料収集や財産評価が重要になります。

 

離婚問題を弁護士に相談するメリット

財産分与を離婚後に請求する場合、その請求には離婚から5年以内(※)にしなければならないという法律上の制限があります(民法第768条第2項但書)。この期間は、消滅時効とは異なり支払督促などによっても更新されず、経過すれば無条件で権利が消滅してしまうという強力な制限です。

 

財産分与は夫婦双方が全財産を隠さず相手に開示することがその大前提としてありますが、銀行員の離婚のケースでは婚姻以前から積み立てられている自社株や投資信託といった財産があって、婚姻期間中に配偶者がその全てを把握しきれていないことも珍しくなく、「自分の知らない財産があるのではないか」「相手の主張する評価額は正しいのか」と疑わしく感じられることもあるかと思います。

 

ですが、ご自身で相手の財産の調査・評価をするには難しいことも多く、時間がかかった結果、財産分与請求の期限が過ぎてしまうリスクも否定できません。

(※)令和8年4月1日以降に離婚が成立した場合。それ以前の場合の除斥期間は「2年」です。

 

また、令和8(2026)年41日より、離婚後の共同親権制度が施行されたことに伴い、単独親権と共同親権のいずれを選択すべきか、親子交流をどのように定めるか、といった問題についてもこれまで以上に慎重な検討が必要になります。

 

こうした財産に関する問題とお子様に関する問題とを並行して対応しなければならないケースも少なくありませんが、弁護士に依頼することで、財産調査や証拠収集段階から調停や訴訟対応まで一括してサポートを受けることが可能です。少しでも有利な条件で離婚を成立させたいなら、ぜひ弁護士にご依頼ください。時間や手間のかかる手続も弁護士に任せることができますし、夫婦間で争いがある場合でも離婚に関して経験を積んだ弁護士が対応するため、相手の要求に流されずに協議を進めていくことができます。

 

銀行員との離婚のお悩みは弁護士法人リブラ共同法律事務所へご相談ください

銀行員との離婚では、退職金、自社株、投資信託など一般的な離婚案件では見かけることが珍しい財産に関する検討を要することがあります。また、安定した収入があることから婚姻費用や養育費の金額も大きくなりやすく、交渉が長期化するケースも少なくありません。

弁護士法人リブラ共同法律事務所では、離婚協議・離婚調停を含む多数の解決実績があり、累計4,000件以上(令和86月現在)のご相談に対応してまいりました。離婚の争点に詳しい弁護士が、ご事情に応じた解決方針をご提案いたします。

銀行員の方との離婚で、

✅財産分与が適正か分からない

✅退職金の分与を請求できるのか知りたい

✅自社株や投資信託の評価方法が分からない

✅親権や養育費について不安がある

という場合は、お早めに弁護士へご相談ください。

監修者

弁護士法人リブラ共同法律事務所
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