離婚は合意しているが離婚条件が決まらない方へ

夫婦の間で離婚することにつき合意が出来ている場合は、離婚届を提出すれば離婚が成立します。

しかし、離婚は人生の大きな節目ともいえるものです。離婚後の新しい生活を見据えた準備をせずに届出を急いでしまうと、のちのち後悔することになりかねません。

こちらでは、多数の離婚問題を解決してきた弁護士が、離婚時に協議しておくべきポイントにつき、ご説明いたします。

離婚時に決めておくべき7つのポイント

(1)財産分与

 婚姻期間中に取得した預貯金や不動産(マイホーム等)といった財産は、夫婦双方の協力により得られた財産として、いずれの名義になっているかに関わらず夫婦の共有財産とみなされ、財産分与の対象となります。他方で、結婚前の預貯金や婚姻期間中に相続した財産などは特有財産と呼ばれ、共有財産とは区別されます。
 

 財産分与の割合は基本的に50:50となることが多いですが、収入が少ない方への援助や有責配偶者からの慰謝料の意味合いを含ませて割合が変更されることもあります。また、財産形成に対する貢献度に応じて割合を変更されることもありますが、片方が専業主婦(主夫)というだけで貢献度が少ないと認められるわけではありません。

 財産分与の請求は離婚成立後2年以内の期間制限があり、また一度書面で請求権を放棄してしまうと離婚後に請求することもできなくなってしまうため、財産分与については離婚時によく話し合っておきましょう。

 

(2)慰謝料

 離婚の原因が不貞行為や身体的・精神的暴力といった不法行為にある場合には、不法行為を行った配偶者に対して肉体的・精神的苦痛に対する損害賠償金を請求することができます。

請求できる金額はケースバイケースですが、調停や裁判になったケースを見てみると、不貞行為の場合は婚姻期間および不貞期間の長短、不貞行為の回数、発覚後の対応といった要素が、暴力の場合は婚姻期間、暴力の頻度・期間・回数、傷害(けが)の内容・程度などが考慮されます。

不法行為による損害賠償請求権には「損害および加害者を知った時から3年」の消滅時効が定められていることや、相手方が不貞行為や暴力を認めないときの証拠収集の必要性からすれば、離婚後に改めて請求するより、離婚時に支払いについて決めておくことが望ましいです。

 

(3)親権者

 未成年の子がいる場合、離婚後の親権者を父母のどちらにするかを決めなければ離婚は成立せず、協議離婚の届出もできません。

 子が未成年者である場合は、親権者が未成年者の法定代理人として責任をもって衣食住の世話・教育、財産の管理を行っていくことになります。親権者は離婚届に記載されたとおりに決定されると後から覆すことは容易ではありませんので、届出を受け付けてもらいたいがために取りあえずどちらかを親権者として記入しておく、といったことはせずに、子どもの生活や福祉を最優先に十分協議することが必要です。

 

(4)面会交流

 子どもと別れて暮らす親が、子どもと面会して、あるいは電話や手紙でやりとりすることを面会交流といいます。

 面会交流は、父母が協議離婚する際に定めるべき「子の監護について必要な事項」として規定されているだけでなく(民法第766条第1項)、離婚の成立前後を問わず行われるものですので、あらかじめ交流の日時や頻度、父母間の連絡手段を協議しておく必要があります。

 

(5)養育費

 離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることには変わりありません。そのため、子どもと別れて暮らす親には、子の監護や教育のために必要な養育費を支払う責任があります。

養育費について協議で決定する際には、養育費の金額、支払期間、支払時期、振込先などを具体的に決めて、スムーズな支払いがなされるようにしましょう。また、長期間の支払となることが多いため、後日紛争にならないよう、書面に残しておくことが重要です(後述のとおり、公正証書にしておくことをお勧めいたします)。

 

(6)年金分割

 年金分割とは、婚姻期間に応じて離婚後に一方配偶者の厚生年金保険料の納付実績の一部を分割し、他方の配偶者が受け取れることができる制度です。

 年金分割には、当事者の合意又は家庭裁判所の決定により納付記録を分割する「合意分割」と、一方当事者の請求により平成20年4月以降の第3号保険者期間につき納付記録が自動的に2分の1に分割される「3号分割」の2種類があり、いずれも夫婦の離婚により自動的に分割されるものではないため、あらかじめ協議しておく必要があります。協議の際は、年金事務所等から「年金分割のための情報通知書」を取得し、年金分割の対象期間や按分割合の範囲などの情報を確認しておきましょう。

 実際に年金事務所の請求手続きをすることが出来るのは離婚の成立後です。基本的には離婚から2年という請求の期限があることにも注意が必要です。

 

(7)婚姻費用

 婚姻中の夫婦の生活費を婚姻費用といい、収入が少ない方は配偶者にその支払いを請求することができます。
 離婚協議中であっても支払われるべきものなので、ここまでで述べているような離婚の条件が決まらず離婚に踏み切れずにいる方も、まずは婚姻費用について取り決めておくとよいでしょう。
 
 婚姻費用の金額は、裁判所が参考としている算定表を目安にして、夫婦それぞれの収入や子どもの有無・人数によって決めていくことが一般的です。

 

弁護士に離婚条件の協議を依頼すべきケース

ここまで離婚時に決めておくべきポイントについて説明いたしましたが、以下のようなケースでは当事者だけでこうした協議を行うことが困難と言わざるを得ません。これらのケースでは弁護士を介することで、公平な離婚条件のもとでの離婚を成立させることができます。

(1)相手と対等な話し合いができないケース

 離婚条件の協議においては、後で後悔しないように、納得できない要求に対しては妥協せずに断ることが重要です。
しかし、協議をしようにも相手方が感情的になってしまう場合や、相手方がDⅤ・モラハラを行っている夫婦の場合には、話し合いが一方的に進んでしまい不利な条件で離婚を成立させられる危険があります。

 そこで、交渉のプロである弁護士が介入すれば、相手方の不当な主張に流されることなく協議を進めることが出来ます。また、弁護士が窓口となって交渉を進めていくため、自分の意見も相手に伝えやすくなりますし、相手方と顔を合わせなければならないプレッシャーからも解放されます。

 

(2)財産関係が複雑なケース

例えば、不動産の財産分与が必要なケースでは、建物や土地をそのまま譲り受ける他に、売却して現金化することによって分割することを考えられることもあると思います。ですが、当該不動産につき夫婦がそれぞれ行った査定金額に差がある等して協議が長期化するケースがあります。

また、財産分与は負債も対象になります。そのため、住宅ローンが残っている場合には支払いの義務は名義人にありますが配偶者が連帯保証人になっているケースもあるので離婚後の返済の見通しや折半も含めた対応を考えなければなりません。
 このような、財産分与で協議が難航しそうなケースでは慎重な検討が不可欠です。そこで、弁護士にご相談いただければ適切な財産分与の計算や必要な証拠について助言が得ることが出来ます。

 

弁護士に依頼して離婚条件を公正証書化しましょう

 他に、離婚条件の協議を弁護士に依頼するメリットとしては「離婚条件を文書として残す際に法的観点から助言を得られる」ことにあります。

例えば、夫婦間の話し合いで取り決めた内容を「公正証書」として文書の形で残し、その中に「債務不履行時があった場合には強制執行を可能とする」旨の文言を入れておくことが出来ます。これにより、離婚後に相手方が慰謝料や養育費の支払いを拒んだときには、裁判を起こすことなく相手の財産を差し押さえて支払いを受けられるようになります。

当事務所で離婚の条件についての協議をご依頼いただいた場合は、離婚条件の合意に至った際には弁護士から公証役場に公正証書の作成を依頼いたします。離婚後のトラブルを避けるためにも、弁護士のアドバイスのもとで公正証書の作成を行うことをお勧めいたします。

 

最後に

夫婦間で離婚することの合意ができている場合には、離婚後に後悔しないためにも互いに納得できる内容で離婚条件を決めておかなければなりません。

そこで、離婚問題の解決の専門家である弁護士に依頼いただくことが、公平な条件のもとでの早期決着につながります。
もっとも、弁護士への依頼を決めた際は、離婚問題に精通した弁護士を選んで依頼することが大切です。なぜなら、弁護士が取り扱う分野は離婚以外にも多岐にわたり、弁護士それぞれに得意な分野があるからです。専門性が高く、相手方との交渉を優位に進める方法を熟知している弁護士に依頼することで結果に大きな差が出てきます。

弁護士法人リブラ共同法律事務所では、すでに累計1000件以上の離婚相談に対応してまいりました。また、弁護士間で解決事件を通じた勉強会を開催し、経験を共有しています。このように、当事務所は多数の離婚問題に取り組んだ実績がございます。

当事務所では、多数の離婚事件を解決してきた経験豊富な弁護士があなたの新しい生活への第一歩をサポートいたします。離婚の条件が決まらずお困りの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

監修者

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