公務員の妻のための離婚相談
目次
公務員と離婚、あるいは公務員同士で離婚する際は、①財産分与や、②年金分割において、会社員の方の離婚とは異なる特有の問題が生じることがあります。
こちらでは、公務員との離婚の際に問題となりやすい上記2点について、離婚問題に注力している弁護士が説明いたします。
公務員との離婚における財産分与の特徴
(1)将来の退職金が財産分与の対象となる可能性がある
一般に退職金は、会社の存続・経営状況、退職時期、退職理由等によって、支給の有無や金額が不確定なものですが、賃金の後払い的な性質があることから、近い将来に受領できる蓋然性が高い場合をはじめとして、婚姻期間や同居期間、寄与度に応じて、将来の退職金を財産分与の対象とできる場合があります。この場合は、定年で退職した場合の退職金満額を分与の対象とするわけではなく、離婚時の勤続年数と同居期間に対応する限りで退職金が寄与度によって分与されることになります。
もっとも、退職金が財産分与の対象となるか否かはケースによって結論が異なり、どのような職種であれば、また、何年先の退職であれば、という明確な基準は今のところありません。
しかし、公務員の場合は、民間企業とは異なり倒産とうにより退職金が受給できなくなる可能性が皆無といってよく、何らかの事情で早期に退職することとなっても、その時までの勤続年数に対応した退職金を受給できることはほぼ間違いないといえます。
そのため、公務員である夫との離婚のケースでは、夫が退職金を受給できる蓋然性が極めて高いと判断される傾向にあり、退職時期が13年先であっても将来の退職金を財産分与の対象とした裁判例もあります(東京地裁平成13年4月10日判決)。
(2)将来の退職金の算定方法が争点となる
また、退職金を財産分与の対象とすることになった場合にも、金額の算定の仕方には、
①基準時点での退職金を算定する方法(千葉家裁平成24年6月28日判決)、
②実際に退職金が支給された際にその金額をもとに算定することとし、計算式をあらかじめ定めておく方法(平成19年1月23日判決)
③将来退職したときに得られる退職金額から婚姻期間と寄与度に応じて金額を定めた上で、退職時までの中間利息を控除して定める方法(東京地裁平成13年4月10日判決)
が考えられます。
これらのうち、いずれの方法をとるかは事案ごとに異なります。
(3)共済組合の貯金にも注意
公務員は自身の加入している共済組合を利用して貯金をしているケースがあります。共済組合の貯金は一般の金融機関と比べて利率が高いため、公務員である夫がまとまった金額を貯金しているケースがよくあります。
共済組合の貯金も、婚姻期間中に形成された部分は財産分与の対象となります。給与から天引きされていることもあるため見落としがちですが、民間の他の金融機関の預貯金の有無にかかわらず、忘れずに確認しておきましょう。
厚生年金の年金分割
公務員と離婚した場合、厚生年金(※下記「被用者年金一元化」参照)について年金分割を行うこととなります。
【※被用者年金一元化とは】
平成27年10月1日に被用者年金(厚生年金と共済年金)が一元化されました。以降は、厚生年金加入期間分・旧共済年金加入期間分を一括して分割することになるほか、厚生年金の手続を取り扱う次のどの役所・機関でも、手続をとれるようになりました。
◆年金事務所・街角の年金相談センター
…民間勤務の厚生年金期間分(一元化前の厚生年金、一元化後の第1号厚生年金被保険者)の年金記録を管理。
◆国家公務員共済組合・国家公務員共済組合連合会年金部
…国家公務員の期間分(国家公務員共済、第2号厚生年金被保険者)の年金記録を管理。
◆地方公務員共済組合・全国市町村職員共済組合連合会・地方公務員共済組合連合会
…地方公務員の期間分(地方公務員共済、第3号厚生年金被保険者)の年金記録を管理。
◆日本私立学校振興・共済事業団共済事業本部
…私立学校職員の期間分(私立学校職員共済、第4号厚生年金被保険者)の年金記録を管理。
年金分割のための情報通知書の提供請求は、婚姻(事実婚を含む)開始以降に夫婦のいずれかが加入していたことのある被用者年金(厚生年金・旧共済年金)の役所・機関(2つ以上の場合はどれでも可)がとりまとめます。違う役所・機関に提出した場合には、書類が回され、とりまとめ機関から「年金分割のための情報通知書」が発行されます。
年金分割の標準報酬改定請求は、年金分割される側(減る側)の配偶者が加入していたことのある被用者年金(厚生年金・旧共済年金)の役所・機関(2つ以上の場合はどれでも可)がとりまとめます。違う役所・機関に提出した場合には、書類が回され、とりまとめ機関で年金分割の処理をし、改定通知がなされます。
公務員との離婚はお早めに弁護士に相談を
公務員は収入が安定しており、その職種や役職によっては高額な退職金や預貯金があるケースもあります。そのため、公務員である夫と離婚条件について協議するにあたっては財産分与がポイントとなることが多いです。
その中でも、特に「将来の退職金を財産分与の対象とすべきか否か」、「対象にするとしてどのように金額を算出すべきか」、という点が大きな争点となることが予想されます。決まった条件次第では、離婚後の生活が大きく変わってしまいますので、少しでも早く弁護士に相談されることをお勧めいたします。
少しでも有利な条件で離婚を成立させたいなら、ぜひ弁護士にご依頼ください。もし夫が財産を積極的に開示してくれないときには財産調査について弁護士がサポートすることができますし、財産分与に限らず離婚条件について夫婦間で争いがある場合でも、離婚に関して経験を積んだ弁護士があなたの代理人として対応するため、相手の要求に屈することなく協議を進めていくことが可能です。
弁護士法人リブラ共同法律事務所では、公務員である配偶者との離婚についても多数の案件を取り扱ってきた実績がございます。公務員との離婚にあたっては特に注意を要する問題があるため、お悩みの方は、弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。
監修者
- 弁護士法人リブラ共同法律事務所は離婚事件を中心に取り扱い、東京・札幌を中心に全国の皆様から多数の相談、依頼をいただいております。離婚についてお悩みのことがございましたら当事務所までお問い合わせください。
最新の投稿
- 2024.10.21私立学校に通うお子様がいる場合の婚姻費用・養育費について
- 2024.09.20多摩市で離婚問題に強い弁護士なら弁護士法人リブラ共同法律事務所
- 2024.09.20日野市で離婚問題に強い弁護士なら弁護士法人リブラ共同法律事務所
- 2024.08.13八王子市で離婚問題に強い弁護士なら弁護士法人リブラ共同法律事務所
こちらもご覧ください
●弁護士紹介 | ●解決事例 | ●お客様の声 | ●弁護士費用 | ●5つの強み |